自動車事故対策機構 千葉療護センターは、自動車事故による、脳損傷で重度の 神経症状を後遺した慢性期の患者さんを専門に治療する病院です。

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自動車事故対策機構
千葉療護センター
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関連サイト
 

岡信男の部屋 2

   
読み物「福祉機器の製作」
 

1.はじめに

1.はじめに
 

 千葉療護センタ-の岡先生は団塊の世代のちょうど真ん中の年齢である。子供のころから工作が大好きで、所謂「ラジオ少年」であった。東京の下町に住んでいたので、秋葉原に近く、しょっちゅう秋葉原に行っては細かい部品をお小遣いで買ってきて、いろいろな物を作っていた。多くの「ラジオ少年」が受験勉強が忙しくなると「普通の人」になるのだが、この人は受験勉強の期間も大学に入ってからも秋葉原をうろうろして物を作ることをやめなかった。このように脱皮をし損なってそのまま大人になってしまった「ラジオ少年」は「ハイテクオジン」(略すとハイジン)と呼ぶとどこかのサイトに書いてあった。それなら、なぜ工学部に行かずに医学部なんかに行ったのかと思うのだろうが、その辺の説明はいろいろと複雑になるので、ここでは省略する。さて、医学部に入ったら医師になるしかなく、卒業して専攻する科を選ぶ時に、電気回路に一番近い神経を選び、その上、物をいじることが好きなので、外科となり、脳神経外科医になったわけである(実際にはそんなに簡単な理由ではないが・・・・)。
 大学を卒業して脳神経外科の医局に入ってから、大学や関連病院で主として急性期の医療を24年間やってきた。平成8年に千葉療護センタ-に来て、以後、慢性期の脳損傷を持つ患者さんを見てきた。
 そこで感じたことは、慢性期の重症の患者さんでも、残存する機能がある人が多く、その能力を最大限に発揮するには、リハビリテ-ションが重要だが、それだけでなく、その能力にあった器機を使用することが非常に大切だと言うことだった。
 現在では福祉機器はかなり進歩をして、特にパソコンが普及してからはかなりのことがパソコンを利用することで可能となっている。例えば、障害者でも使用できるスイッチとしては、色々な形の機械的スイッチや、瞬きや呼気で操作できるスイッチなどが市販されていて容易に手に入れることができる。
 しかし、千葉療護センタ-に入院するような最も重症の患者さんではこれらの障害者用の装置でも使いこなせないことが多い。たとえばスイッチにしても手指の可動域や筋力、ふるえなどの不随意運動などがある場合はその能力に応じたつまみの形状、スイッチを押す力、スイッチの反応時間、スイッチの固定法などをその症状に応じて変える必要がある。また、適当と思って作った装置でも実際に使ってみると細かな手直しが必要な場合も多く、カット・アンド・トライ が必要である。
 そのような訳で、重症の障害を持つ患者さんが使用する機器は、患者さんの能力にあわせて製作して、その後何回もの手直しが必要である。従ってリハビリスタッフによる患者さんの能力の評価を反映した器機の製作と、その試用状態を評価しての変更などが迅速に行えることが好ましい。つまり、施設内でこれらの器機の製作ができることが必要である。

 岡先生は以前から、リハビリスタッフからのリクエストで入院患者さんに使用する道具を時々作ってきた。このペ-ジでは今まで作ってきた器機を紹介する。
 同じような障害を持つ患者さんやリハビリテ-ション関係の方に少しでもヒントになれば幸いである。 
 

2.学習リモコン-1

2.学習リモコン-1
 
 テレビなどを手元で操作できる赤外線リモコンは障害者にも非常に便利な道具である。しかし、ボタンの数が多く、一つ一つのボタンが小さく、使い方も複雑で、重症の運動機能障害のある人にはなかなか上手に使いこなせない。そこで、チャンネル切り替え、音量調整などの頻繁に使う数種類の機能だけをわかりやすく大きなボタンで操作できるリモコンが必要となる。
 市販されているリモコンの中に「学習リモコン」というのがある。これはテレビやDVDレコ-ダ-などがそれぞれリモコンを持つと数が多くなるので複数のリモコンの機能を一台にまとめるために使われる。この機能を持ちボタンの大きなリモコンを作り、使いたいリモコンの機能をこの学習リモコンに移植すれば良いわけである。市販の学習リモコンを調べてみたが、機能が複雑で改造が可能と思われるものはなかなか見つからなかった。インタ-ネットで検索していると十川(sogawa)さんのホ-ムペ-ジで学習リモコンの基盤キットを販売していることを知り、早速手に入れた。機能をフルに使うと19個のスイッチが設定できるとのことであるが、とりあえず5個のスイッチが操作できるようにパネルに5個のジャックを設定し、あとで増設が可能な配置とした。患者さんの使うスイッチは、個々の手指の状態により違うので、それに会わせたスイッチを作り、このジャックに接続して使うこととした。まずは基板を組み立てる。受光素子は普通に取り付けと赤外線LEDはリ-ドを出しパネルに直づけとした。タクトスイッチと表示用の2個のLEDは普通と逆に銅箔面に取り付けて蓋にあけた孔から出して使うこととした。使用者が頻繁に操作する器械の場合はスイッチや表示灯の配置などを考えた筐体のデザインをするが、この器機は学習させるときだけスイッチを操作して、一度学習させてしまえば本体のスイッチを操作することはないので、使い勝手を無視した無精デザインとなった。しかし、実際に組んでみると非常に格好が悪く、多少反省している。基板の固定はケ-スの身の方に樹脂製のスタッドを立てて、これにネジをつけて、スイッチのボタンがちょうどケ-スの蓋から出るように高さを調節した。横のパネルに受信素子に一致した孔を開け、パネルに赤外線LEDを固定、反対側のパネルに5個の3.5φジャックと電源用のスナップスイッチをとりつけ完成となる。後で考えたら、待機電流が少なければスイッチはいらなかったかもしれない。もうつけてしまったので、その後待機電流は測定していない。例によって説明書を作って(一番下の注意は古いギャグです、わかるかな?)リハのスタッフに渡した。

 数日すると、言語聴覚士から、「若い女性の患者さんに使ってもらったのだが、不随意運動があり、スイッチを一回押そうとすると、2回押してしまうことが多いから何とかならないか?」との話しがあった。このような要求にすぐに答えられるところが院内製作のいいところである。そこでアンチチャタリング回路を組み込むこととした。アンチチャッタリング回路はロジックICに時定数を持った回路を組み合わせたものが一般的である。これはメカニカルスイッチをONにした瞬間に接点が飛び跳ねて瞬間的にON/OFFを繰り返すことに対する回路である。しかし、今回の場合チャッタリングを起こすのは人間の指なのでその間隔はスイッチの場合より遙かに長いはずである。CRで時定数を設定した場合にはこれを変えるとなると半田ごての登場となり面白くない。そこで、例によってPICを使用してソフトウエアで不応期を変えられるようにする。16F84Aを使えばポ-ト数が十分にあるので5チャンネル全てにアンチチャタリング回路を組み込めるが、電源が単三3本なのでここでは電源電圧の範囲の広い12F629を使って2チャンネルのみにアンチチャタリング機能を持たせることとする。プログラムは極めて簡単で一度ONを検出したら一定幅のパルスを出力して、その間新たなONを受け付けなければよいのである。ちょいちょいとプログラミングをして、基板の切れっ端の上に回路を組んだ、学習リモコン基板の回路を解析すれば、PICの出力ポ-トで直接ドライブすることも可能と思うが、ここでは無精をしてフォトモススイッチを2個おごりこんで安易に解決する。このようなインタ-フェイスにはフォトモススイッチはお互いの相性を検討することなく使えるので大変都合がよい。基板の下に押し込めて配線をすればこれで完了。これで彼女でもうまく操作ができるようになった。
 
 
学習リモコン-1 写真1
Sogawaさんのホ-ムペ-ジから引用させていただいた基板の写真。
実際にはバラの部品が送られてくる
 
学習リモコン-1 写真2
組み立てた基板。一部の部品は銅箔面につけたが、スル-ホ-ルメッキがしてあるので強度的にも問題がない。
 
学習リモコン-1 写真3
スタッドとネジでスイッチの頭が蓋から出るように高さを調節する。
 
学習リモコン-1 写真4
完成した学習リモコンの内部
 
学習リモコン-1 写真5
追加したアンチチャタリング回路の基板。左の2個のICがフォトモススイッチ。
 
学習リモコン-1 写真6
既存の基板の下に押し込める
 
 
学習リモコン-1 写真7
学習リモコンの説明書、自作の器機にしっかりした説明書を作っておくことは重要です。
ラミネ-トしておくと折り曲げられないので、紛失しにくいようです。説明書にあるロゴは実際の器械には入っていません。
 

3.学習リモコン-2

3.学習リモコン-2
 
 「学習リモコン」をキ-ワ-ドにしてネット上を探していたら写真のような安い学習リモコンが見つかった、写真で見るように丸いスイッチと4方向スイッチの合計5個しかないが、5個もあればとりあえず十分である。値段は@¥1100と非常に安いのもありがたい。ネットオ-クションで見たら¥1からとなっていたが、まさか1円では買えないだろうと思いとりあえず通販の@¥1100で2個ゲットすることとした。
 送られてきたリモコンを見ると例によってMade in China でかなりいいかげんな作りだ。前面にLEDが2個ついていて、送信部は赤外線LEDのはずだが、受光部は白色LEDでこれがフォトダイオ-ドの代わりに受光素子として使われているようだ、これはライトとして点灯することができ、寝室などの暗い部屋では結構便利かもしれない。フォトダイオ-ドより安いLEDを使用するなど、コストダウンの方法としてもなかなかのアイデアである。とりあえず分解して中身を見ることとする。このような中国製の安物の器械はもとより修理をすることなどを考えておらず、筐体はかみ合わせと接着で固定されていることが多く、分解するときに壊れてしまうこともある。2個ゲットしたのはこのような理由からである。マイナスドライバ-で少しずつこじると、案の定かみ合わせと接着であったが、何とか壊さずに分解することができた。基盤の銅箔面を見ると、スイッチの板バネはセロテ-プで固定されている。極めていいかげんな作りであるが、改造する方にとってはこのようないいかげんな作りはかえって都合がよい。
 板バネを取り除き、スイッチの両極に細いリ-ド線を半田付けして蛇の目基盤に並べたタクトスイッチにつなぐ、ここからさらにジャックにつなぎ、タクトスイッチとパラレルで外部スイッチが使えるようにする。操作してないときの電流を測定してみると数マイクロアンペアと単三乾電池なら無視できる電流なので、電源スイッチはつけないこととした。
 筐体はいつものタカチのプラスチックケ-スを使うことにする。タクトスイッチにあわせて孔を開けるのは結構難しかったが、リュタ-とヤスリで何とか見苦しくならずに開けることができた。雨でテニスに行けない日曜日に作っていたら一日で完成した。
 
 
学習リモコン-2 写真1
ネットオ-クションで見つけた学習リモコン。@¥1,100とかなり安い。これなら改造で壊しても惜しくない。
 
学習リモコン-2 写真2
受光部は白色LEDでライトとして使える。Good ideaである。結構使えるかもしれない。
 
学習リモコン-2 写真3
何とか壊さないで分解できた。内部は比較的簡単な作りで電池はLR44x3。リ-ド線はテストのために後から付けたもの。
 
学習リモコン-2 写真4
基板の銅箔面を見る。タクトスイッチの板バネはセロテ-プで固定してあるだけ。このようないい加減な構造の方が改造しやすいので好都合である。
 
学習リモコン-2 写真5
板バネを取り除いたパタ-ンに細いリ-ド線を半田付けして外部に引き出す。基板上にあった表示用のチップLEDは取り外して、赤色LEDを外付けする。
 
学習リモコン-2 写真6
適当なケ-スに納めこれで完成。消費電流が少ないので単四を使用して基板を2段重ねにして、ジャックを一個の多極コネクタにまとめればもっと小型化が可能。
 
 
学習リモコン-2 写真7
完成した学習リモコンとその説明書。素人が作った器械を一般の人に使ってもらうにはしっかりした使用説明書を作ることは非常に重要である。図にはケ-スに文字が入っているように見えるが、実際には文字は入っていない。一度学習させてしまえば、本体は操作する必要がないので、無精をしてレタリングはしなかった。
 

4.スティックマウス

4.スティックマウス
 
 言語聴覚士(ST)からパソコンが使えそうな患者さんがいるからスティックで操作できるマウスが作れないかとの相談が来た。「スティックマウスは確か貴女が療護センタ-に来る前に前任のSTに作ったのがあるはずだよ」と言ったら「これですか?」と持ってきた。かなり以前に作った物だが、パソコンが代わりインタ-フェスが代わった事や、これを使用していた患者さんが退院したので、そのままになっていたらしい。コネクタを見たら丸形なのでUSBではない。PS/2だと思って挿そうとしたら挿さらない、よく見たらそれ以前の9ピンコネクタの物だった。センタ-内のどこを探してもそんなに古いパソコンはないので、もはや使えるものではない。作った当人も中の回路などは忘れてしまったのでとりあえずばらしてみる。内部の配線はかなりいい加減で基盤はなんとガムテ-プでくるんで、空きスペ-スに固定もせず押し込んである。よっぽどやる気が無かったか、あわてて作ったかのどっちかだが、当の本人は忘れてしまって思い出せない、もはや時効ということで勘弁して頂こう。回路を見ると555タイマ-でクロックパルスを作り、ロジックICで位相がずれた2系統のパルスを作り、マウスの光学エンコ-ダ-の出力をシュミレ-トした物らしい。今なら当然PICを使用してソフトウエア的に作るところだが、当時はディスクリ-トでこんな苦労をしていたんだ、などとしばし感慨深く眺める。
 とりあえずこれをUSBマウスに改造することとした。USBのコネクタの規格を調べると、信号線が2本しかなく、エンコ-ダ-の出力を直接パソコンに送っているのではないようだ(universal serial busなので当たり前だ)。USBの規格を調べたら器機毎に固有の認証コ-ドなどがあり大変複雑で一から作るではやってらんないなと思う。そこで一から作るのはあきらめ、ボ-ルマウスの光学エンコ-ダ-に電気的にパルスを加えてだます作戦とした。先ずはマウスを手に入れなければならない。ネット上でボ-ルマウスでUSBコネクタの物を探すが、今は殆ど光学マウスでボ-ルマウスなどは売っていない。トラックボ-ルのマウスなら光学エンコ-ダ-が入っているかもしれないが、これは高価なので敬遠する。今はボ-ルマウスは手に入らないのかと半分あきらめたところでアイデアが浮かんだ、「中古を探せばいいのだ!」。と言うわけでハ-ドオフに行ってみると、ジャンクボックスの中に中古のマウスが一杯入っている。とりあえずボ-ルでUSBのものを3つばかり選んでカウンタ-に持っていくと一個¥500だという。結構たかいなと思っていると、「使えないかもしれないですよ」ときた。そんなことは十分承知の上である。持ってかえってパソコンにつないでみたら3つとも正常に使えた。基盤を取り出してUSBに接続してもエンコ-ダ-のLEDは点灯しない。多分赤外線LEDだと思うが、透明なモ-ルドである。紫外線LEDかもしれなが、対向する受光素子がアンバ-の樹脂なのでやはり赤外線らしい。だますためのパルスジェネレ-タ-をおなじみのPIC16F84Aで作る。X軸2方向、Y軸2方向のパルスを4つのINPUTスイッチで発生させるようにした。PIC一個にセラロックとチップ抵抗以外の外付け部品は殆どなく、機能は以前の回路と同じであるが、パルスの条件はソフトウエアでいくらでも変えることができ、世の中進歩しているんだと実感する。とりあえず、X軸のエンコ-ダ-の受光素子を取り除き代わりにPICのパルス出力を接続してみる。インプットスイッチを操作すると画面上のマウスポインタが確かに動くが、動きが不規則で時々後戻りしたりしする。これでは全く実用にならない。マウス基盤のプリントパタ-ンを見ると赤外線LEDに電圧を供給する線は直接+パタ-ンから出るのではなく、ICの足から出ている。もしかしたら赤外線LEDの入力が38KHz等でチョップされている可能性もある。またPICの出力パルスは5Vなので、エンコ-ダ-の出力がこれと大幅に違う電圧かもしれない。これを確かめるのは受光素子の足の波形をオシロスコ-プで見れば良いわけだが、これはちょっと面倒だし、実際にチョップされていた場合はPICのプログラムが複雑になるので、このアイデアもあまりいただけない。
 再びネットに戻って調べていたら、NPO法人こことステップという福祉機器を製造販売している組織からUSBマウス用の基盤だけを分けてくれることが判った。これを利用すれば全く問題なくUSBマウスができる。この法人は色々な形の障害者用マウスを作っていて、特別の仕様やお試しのシステムもある。障害者には大変ありがたいシステムである。これを買ってもよいが、結構高価であり、患者さんに個人的に買ってもらって使えなかった場合は「面目丸つぶれ」だし、センタ-で購入してもらっても使えなければ次回からは買ってもらえないだろう。そこで、とりあえず自腹で基盤だけを購入して、マウスを自作することとした。もし使えなければ使えるように患者さんの能力に合うように改造すればいいし、万が一使えなくても、バラして部品にして次の患者さんに使えばいい。失敗を恐れずに気軽にチャレンジできるのが自作のいいところである。届いた基盤を見るとダブルクリック、ドラッグなどの機能が独立したボタンに設定できるようになっていて、ボタンが押せる能力があれば手指に巧緻性がかなり悪くてもマウスの全ての機能が使えるような豊富な機能設定があり、実際に使用する現場を見ている人の設計であることは容易に理解された。基盤セットはUSBコ-ドなどの全ての付属品がついてその端末処理も丁寧で、これで¥6000なら決して高いとは思わない。とりあえず、以前に作ったマウスを分解して回路を取り除きこことステップさんの基盤を取り付ける。マウスアイコン移動のジョイスティックと左右のクリックボタンしかないので、それだけを配線して、その他の豊富な機能は結線せずに放置する。これらの機能が使いたいというリクエストがあれば箱を大きくして新たにスイッチを造設すればよい。配線をして完成まで一時間半であった。USBコネクタに挿したらあっけなく認識して問題なく快調に動く、今までの苦労は何だったんだろう。しかし、しゃくだから、そのうち気が向いたらマウスのエンコ-ダ-の信号をオシロで見て、マウスをだます方法にもう一度チャレンジしてみたい。
 
 
スティックマウス 写真1
このコネクタなんだっけ?シリアルインタ-フェイスか?
 
スティックマウス 写真2
作ったことは覚えているが、中身のことは全然覚えていない、あまりに古いせいか、記憶力が鈍ったせいか?
 
スティックマウス 写真3
内部の作りはかなりいい加減。よほどやる気が無かったかあわてて作ったかのとちらか
 
スティックマウス 写真4
取り出した基板(左)。タイマICとロジックICで位相のずれたパルスを2組作っている。同じ機能を持つ回路をPICで作る(右)こちらの方が高機能で、世の中進歩しているなあと感心する。
 
4.スティックマウス 写真5
こことステップさんのUSB基板を使っていとも簡単にUSBマウスに変身した。このような半完成品は無精な自作派にとっては非常にありがたい。
 

5.ワ-クベンチ

5.ワ-クベンチ
 
 自宅の書斎にはワ-クベンチがある。書斎とは名ばかりで実際には作業場である。医学書より電気や機械関係の本の方が多い。誰が見ても医者の書斎だとは思わないだろう。うっかり歩くと金属の削りかすが足の裏に刺さる。リハビリのスタッフから物作りを頼まれると自宅のワ-クベンチで休みの日などに半田こてを振り回して物作りをしていた。しかし、良く考えてみるとこれも仕事のうちかもしれない、職場で堂々とやってもいいのではないか。以前より看護師さんから「カフ圧計を壊してしまいました」、などと持ち込まれて、病院の自分の机に入れてある簡単な工具(ラジオ少年は必ず身近に工具を置いていないと落ち着かないのです)で修理などをしていたが、あり合わせの工具で何とも使い心地が悪い。そんなわけで、病院の自分の部屋で正々堂々と物作りができないかと以前から密かに考えていた。ちょうどそんなときに作業療法士が「作り方を教えてください」ときた。チャンスである。ちょうどいらなくなったパソコンデスクが廃棄処分になるところだったので、当直の夜に密かにこれを自分の部屋に移動する。狭い部屋なので入り口近くしか置くところがなく、廊下から丸見えだが、スタッフにアピ-ルするのにはかえって都合がいい。家から古い工具や部品の一部を持ってきて適当にぶら下げ、ワ-クベンチらしくなった。次は部品の調達である。今までは「道楽だ」などといって自腹を切ってやっていたが、部品を買ってもらえないかと恐る恐る庶務課に言ってみると、意外に簡単にOKがでた。これからは大きい部品は買ってもらえるが、まさかスイッチ一つまで注文するわけにはいかず、自腹を切ることは皆無にはならないと思う。
 
 
ワ-クベンチ 写真1
廊下から丸見えのワ-クベンチ。
 
ワ-クベンチ 写真2
慣れない手つきで作業をするOT。話しを聞いたら子供の頃に糸のこ盤などを使うのが好きだったそうである。ヤスリがけなどをさせてみると意外に上手である。見所のある弟子かもしれない。
 

6.まばたきスイッチ

6.まばたきスイッチ
 
 言語聴覚士から、「まばたきで合図ができる患者さんがいるので、まばたきで動作するスイッチを作ってください」という依頼がきた。これは難題である。まつげが触れるような位置に圧電素子を置いて、まつげがこれに触れるわずかな振動をキャッチするか、などと考えたが、これは圧電素子とまぶたの距離などがかなり微妙になりそうで、うまくいきそうにない。だいいち、まばたきをする度にまつげが何かに触るのでは気分が良くない。そこで、非接触の方法を考えることとした。「まばたきスイッチ」と入力してググルと、いくつかヒットしたが、殆どが同じ製品を紹介したサイトである。なにやら、偉い大学の研究室と協同開発をしたとかで、お値段も数万円と結構高い。しかしこれは自作派の感覚で、福祉機器としては当たり前の値段である。自作派はスイッチやダイアルなどの器機の外観を見ただけで、その機構がだいたい判り、頭のなかで即座に部品の値段を計算して、自分が作ればいくらでできると計算する習性がある。計算された値段は殆どの場合書いてある価格の数分の一である。この器械を見ると10x10cm程の大きさの箱からなにやらコ-ドが出ていてメガネのレンズに付いた小さな部品と連結されている。この構造を見ればだいたい見当が付く。たぶんphoto intrrupterを使っているのだろう。頭のなかでチョイチョイと値段を計算するとたぶん数千円でできそうだ。ネットでphotointrrupterの規格を調べていたら、反射型というのがあり、これは発光素子と受光素子が同じ方向を向いて並べられていて、この前数ミリから1cmに来た物体の反射を検知するもので、これをメガネのレンズにつければ、まぶたが降りてきたときに眼球結膜の位置と比べてできる数ミリの差を検知することが可能である。フォトインタラプタの赤外線LEDはPICの出力でドライブして、PICがセンサを見に行く瞬間だけ点灯することも可能だが、ポ-ト数が少ないため、点灯しっぱなしとする。赤外線は水晶体に悪いが、この場合は微弱なものであり、結膜を照射するが、水晶体には当たらないので、これでも問題は無いと思われる。これをセンサとしてスイッチを動作させればよいが、自然に起こるまばたきと、意識的に行う閉眼を区別する必要がある。これはまぶたを閉じている時間により区別することとする。PICを利用して使用者に合わせられるようにこの時間設定は可変とする。リレ-を駆動してon/offを行う。だいたいの案はできたのでメモ用紙の上に配線図を書いて基板の配線を始める。できあがった後で記録を残すにはCADで配線図を書くが、どうせ配線していく段階でカットアンドトライで回路が変更になったり、部品の定数が変わったりするので、最初からCADを使うのはナンセンスである。パソコンのCADのデ-タファイルを探したら、配線図があった。製作したのは2006年5月と3年以上前である。この配線図を見ると、フォトインタラプタの出力をLM324で初段はバッファで受け、それから2段増幅してPICに持って行っている。PICの出力につながれた3つのLEDは閉眼を検知したところで赤が点灯し、同時に黄がピピピ音とともに点滅して不応期を示す。一定時間後にリレ-が作動して緑が点灯する。短いまばたきでは不応期の間に眼瞼が上がり赤が消灯するのでこの時点でピピ音は止まり、リレ-は作動しない。この不応期の長さはGPIO4, GPIO5 のタクトスイッチを一回押す毎に変化する。TEST SWはこの長さの設定をするために、センサが作動したと同様の入力をPICに与えるためにある。配線図ではトランジスタでフォトモスリレ-をドライブするようになっているが、実際の写真を見たら、DIPタイプのメカニカルリレ-が使われていた。おそらく負荷としてつながれる器具が想定できないので、接点容量の多い普通のリレ-に変更したような気がする
   
反射型フォトインタラプタはポリカの小片にエポキシで固定した。これをセロテ-プでメガネのレンズに固定する。使う人により位置が違うので、簡単な固定法の方が好都合である。
 
 
まばたきスイッチ 写真4
毎度おなじみのPIC12F629。ポ-トがもっとあれば、赤外線LEDもPICがセンサ信号を読みに行くときだけけドライブすることができるのだが・・・
 
まばたきスイッチ 写真5
リレ-はフォトモススイッチでなく、DIPタイプのメカニカルリレ-
 
まばたきスイッチ 写真6
 
まばたきスイッチ 写真7
   
完成したまばたきスイッチの外観。ロゴは無精をして透明のテプラを貼り付けてある。感度調整(実際にはトリガの閾値レベルの調整)ダイアルは多回転のポテンションメ-タ-を使っているが、これは廃棄処分になったME器機から取り外したもので、買って使うなら10KΩ程度のVRを使用するところだ。最近のME器機は取り外して使える部品が少なくなり物足りない。内部を見ると配線は束ねてあり、結構気合いが入っているが、基板上でビニ-ル線の引き回しが多く、箱が大きいのをいいことに、部品配置が無計画だったことがバレバレである。
 

7.タッチスイッチ

7.タッチスイッチ
 
 言語聴覚士から「舌を動かして合図ができる患者さんがいるので、舌で動かせるスイッチを作って下さい」というリクエストが来た。短いストロ-クでON/OFFできるレバ-付きのマイクロスイッチなどを使えば簡単にできるが、それでは面白くない。複数の人に使う場合は舌に触れる部分の清潔も気になる。そこで、触れただけでスイッチが入る回路を使って、触れるものは普段口に入れているスプ-ンなどを使うこととする。この手の回路はタッチセンサなどと称して、エレキットだとかワンダ-キットなどいくつかのキットメ-カ-から市販されている。
 このような情報は、普段から秋葉原をうろついているから判るのである。学会を早めに抜け出して「仕事だ」などと言って、秋葉原をうろついているのは決して無駄ではないのである。センタ-長は子供の頃から今まで50年間ほど秋葉原をうろついてその変遷を見てきた。ここでいう「秋葉原」とは、メインストリ-トのテレビや冷蔵庫を売っているお店ではなく、ガ-ド下や細い路地にある部品屋のことで、古い人は秋葉原と言わず「神田の電気屋」と言うこともある。ちなみに、一般に秋葉原と言っている場所は地名としては外神田で、秋葉原という地名は存在しない。最初に秋葉原が大きく変わったのは、パソコンが出始めたころで、それまでのジャンク(中古部品やがらくた同然の使えるか使えないか判らない器械)を売っている店が次々とパソコン屋になった。次にゲ-ムソフトを売る店が増え、それと同時にフィギアだとかコスプレだとかの店が多くなり、町を歩く人も鞄を斜めに掛け、赤ん坊がそのまま大人になったようなポチャっとした体型の若者が多くなった。その後秋葉原の再開発に伴い、外国からの観光客も訪れる町になり、メイド喫茶が大流行なのは皆さんご承知の通りである。しかし、今も残る昔からの部品屋に行くと、熱心に部品を漁っている青年がいて、ほっとするこのごろである。
 話しが脱線したので元にもどそう。タッチスイッチは触ることによりアンプの入力に人体を通して漏洩電流が流れるのを検知する方法が一般的である。入力をつないでいないアンプのホット側に触れるとブ-ンという大きな音がするあれである。とりあえず秋葉原に行ったときに、ワンダ-キットのタッチセンサキットを一つ仕入れる。こういうキットは説明書が親切にできているので、初心者でも組み立ては難しくない。とりあえず使う部品だけを基板に半田付けして基板を完成させる。表示用のLEDなどは無精をして基板に取り付けその位置にケ-スの穴を開けることとする。電源はいつもは電池を使うのだが、この場合は漏洩電流を使うので、ACアダプタ-とする。感電しない程度に漏洩電流の多い安物が好ましい。作ったのがかなり前なので、記憶がなかったが、今回この文章を作るために中を開けてみたら、入力プラグには線が1本しか接続されていない、この近くに1MΩの抵抗が見える。入力を完全にオ-プンにすると動作が不安定になるので、たぶんこれで入力をシャントしているのだろう。
 入力プラグから1本の線を引き出し、スプ-ンなどにつなげばよい。ここは凝って、木工用のクランプを加工してフレキシブルア-ムをつけ、この先端にア-ス端子に使うクリップを二つ取り付け、これにスプ-ンなどを固定して、使用者の口の近くに持っていくこととする。
 斯くしてタッチスイッチは完成した。キットから作っただけあって、非常に安定した動作をする。ONになったときはLEDで表示されるが、ブザ-はつけていない。しかし、リレ-がカチッと結構大きな音をだすので、音表示はこれで十分である。
 今回この文章を書くにあたり、言語聴覚士のところから器械を回収したら、箱にE.T.と書いてあった「誰だい、こんな変な名前つけたのは?」と訊いたら、「先生ですよ!」との答えが返ってきた。そういえばしゃれでこんな名前をつけたかもしれない。指先が伸びてタッチするとピカ-と光るSF映画のあれである。
 
 
タッチスイッチ 写真1
基板を見るに、ICを3個も使って、かなり凝った回路のように見える。青色の半固定抵抗と一番右に見えるタクトスイッチな何だろう?今更回路を解析する気にもなれない。
 
タッチスイッチ 写真2
入力ジャックには線が一本しか接続されていない。近くに1MΩの高抵抗が見えるが、これが入力とア-スの間に接続されていると思われる。この抵抗は無いと動作が不安定になり、触らなくとも舌が近づいただけでスイッチがONとなるし、値が低いと感度が悪くなる。
 
 
タッチスイッチ 写真3
タッチスイッチの本体、操作部位は感度調整のスイッチだけだが、一度セットしてしまえば、殆ど調節する必要がない。
作った当時E.T.という名前が気に入ったのか、わざわざ文字シ-ルを買って貼ってある。
 
タッチスイッチ 写真4
タッチスイッチの全体。このクランプは把持力が強くテ-ブルなどにかなりしっかりと固定できる。先端は弾力のある樹脂で傷も付きにくく、結構便利に使える。
 
タッチスイッチ 写真5
フレキシブルア-ムの先端にウィングナットでアクリル板を固定してこれに2個のア-スクリップを付ける。一方のクリップに入力プラグとつながるリ-ドを接続してある。
 

8.圧力スイッチ

8.圧力スイッチ
 
 言語聴覚士が圧力スイッチを持ってきた。患者さんに血圧計のゴム球を使おうとしたら、ゴム球が硬くて押せないとのことで、手に合うかたちの握れるゴム球がないかとのことだった。そんなに都合のよいゴム球があるわけはない・・・・と言っては元もこもないので、100円ショップに行って、おもちゃの風船と台所用のスポンジを買ってくる。スポンジを適当な形と大きさに切って、それを風船の中に入れて、風船の口に点滴用のチュ-ブの切れ端をつけて、これで一丁できあがりとなる。
 圧力スイッチの本体は最近買ったとの事である。値段を聞いたら例によってン万円とのこと。「写真を撮るので本体を貸してよ」と言ったら、持ってきた言語聴覚士が「先生、バラスンでしょ」ときた、しっかり読まれている。風船センサをつないで試してみると、明かに敏感過ぎる。ちょっtした握り具合の変化でスイッチがばたばたとon/offしてこれではうちの患者さんには使えない。感度を一杯に落としても同じような状態である。「誰に使っているの?」ときいたら、「今は誰にも使っていません」とのことだった。本体には15cm角ほどの白いプラスチックでできたブ-ブ-クッション(昔はやったので若い人は知らないと思うが)が附属している。この袋にある程度空気を入れておいて机の上に置いて上から圧を加えて使うらしいが、これはうちの患者さんには使いにくい。
 そこで、手で握るセンサ-に適した圧力スイッチを自作することとした。今ある圧力スイッチは圧変化の表示がなく、あとどのくらい力を入れたらonになるのか判らないので、圧変化が表示できるような機能を組み込む事にした。だいたいのプランは半導体の圧センサを使い、これの出力を増幅してLEDアレイを駆動して、一定のレベルに達したらリレ-を駆動することとした。
 まずは部品を集める。今は半導体などは秋葉原に行くより通販で頼んだ方がはやい。電子部品は安いので少量だと部品代より送料の方が高くなるが、交通費と時間を考えればこの方が明らかに効率が良い。そのようなわけで1個しか使わない部品でも、壊れた場合を考え3個程度買う場合が多い。このようにして長年やっているので、センタ-長の自宅の部品箱には多数のICや部品がたまり、たいていのものを作るのは部品箱を引っかき回せばできる。しかし、今回は特殊なものが多いので新たに注文した。買ったのは半導体圧センサ3個、LEDアレイ5個、LEDアレイドライバ10個である。リレ-は3Vで駆動できるものが通販で見つからず、部品箱には5Vのものしかなかったので秋葉原に行ったときに探したが、なかなか見つからず、やっと見つけたら表面実装用で使いにくいが、これを3個¥200で手に入れた。
 先ずは基板上に回路を作る。LM358の片側で定電流電源を構成して、これを圧センサに加える。圧センサはホイットスト-ンブリッジになっているので、出力は電圧で得られる。これをLM358で増幅する。圧センサに注射器をつないで、圧をかけながらオシロで出力を見て、だいたいの増幅度の見当をつける。LEDアレイドライバは10個のLED全部を点灯できる最低の電圧は1.2Vであるが、ここで感度調整も行うので、十分な増幅をしたい。しかし電源電圧が3Vではいかにrail to railのオペアンプでも最大3Vしか出ないわけで、仕方なく電源を4.5Vに変更する。何のことはない、4.5Vならばジャンクボックスに転がっていた5Vのリレ-が使えるので、最初からそうすれば良かった。LEDアレイは低い方の7個が緑で、高い方の3個が赤なので、最初の赤がついた時にこのLEDの入力とパラにリレ-駆動回路を組めばよいのである。これはPICのADコンバ-タ-を使うよりはるかに簡単でしかも表示装置も兼ねるのでgood ideaである。リレ-のドライブはトランジスタ1個でやることとした。これをエミッタ接地でやるには2SAまたは2SBの石が必要だが、ジャンクボックスを漁ったら2SB560という懐かしい石が出てきたのでこれを使用することとした。基板をタカチのケ-スに納める。最初は3Vで計画したのだが、電池が1本増えた。ケ-スにはかろうじて入れることができた。LEDアレイの四角穴はかなり時間がかかったが割ときれいに開いた。実際に試してみるとうまく動くが、感度の高い方がやや不足の感じがする。とりあえずある程度の握力のある人には使えるが、非常に握りが弱い場合は感度がやや低い感じがする。やはり感度調整まで入れると一段の増幅ではきついので、もし感度が足りなければ、2段増幅に変更する予定である。
 
 
圧力スイッチ 写真1
市販の圧力スイッチ。圧と圧電素子からの入力の2種類が使えるようになっている。外見を見ただけでどんな構成になっているかだいたい想像が付く。
 
圧力スイッチ 写真2
開けてみると、構成は圧センサ、JRC022X3,PIC12F675を使って、出力はフォトモススイッチとなっている、だいたい予想通り。
 
圧力スイッチ 写真3
スポンジとおもちゃの風船を使った圧センサ。大きさ形など自由にでき、第一安いのがグ-である。
 
圧力スイッチ 写真4
半導体圧センサはパナソニックのADP1101を使用する。たしか一個¥200だった。電子部品は一般の人が考えているよりはるかに安いものです。
 
圧力スイッチ 写真5
LEDアレイ、7個が緑で、3個がオレンジです。このあたりの特殊な部品になると、秋葉原でも探し回らないと見つかりません。一個¥150
 
圧力スイッチ 写真6
アンプは定番のLM358。3V程度の低い電圧で片電源で使える便利なアンプです。これは我が家の部品箱から。
 
圧力スイッチ 写真7
LEDバ-ディスプレイドライバLM3914。LEDアレイを電圧に従い順番に点灯するIC。このあたりの特殊な半導体は秋葉原を駆け回るより、通販で探した方がはやい。一個¥150だった。
 
圧力スイッチ 写真8
3Vで使えるリレ-は探すのがなかなか大変だった。驚くほど小さく表面実装なので使いにくいが、 これでも接点容量は1Aもあるのは驚きである。3個で¥200
 
圧力スイッチ 写真9
   
完成した基板。部品の配置はあまり考えないで何となく作ったので、小型化は考えていない。銅箔面はトライアンドエラ-で半田付けを繰り返したので、かなり汚くなっている。こうなると改めて一から作り直したくなる。パネル面から出すのでLEDアレイは銅箔面に、表面実相のリレ-も同じ面につけてある。
   
完成した本体と内部。オレンジのLEDが点灯するとONとなる。圧を伝えるチュ-ブはかなり不自然。これならポ-トを反対側に向けるべきで、例によって計画のなさが露呈している。もう一台作るときははるかに洗練したものが作れるはず。
 
 
圧力スイッチ 写真12
 
圧力スイッチ 写真13
左から、圧ポ-ト(この部品を見て何か判る人はかなりのラジコンマニアである)、電源スイッチ(かなりの高級品だが、ME器機から取り外した物)、出力ジャック。
 

9.ト-キングエイドの修理

9.ト-キングエイドの修理
 
 新たに入院した患者さんが以前ト-キングエイドを使っていたが、今は使用していないとの話しを言語聴覚士が聞いた。なぜか、と尋ねたら、持っていたト-キングエイドが故障して、メ-カ-に問い合わせたら、「古い製品なので修理できません」との返事でそのままになり、以後使わなくなってしまったようだ。例によって言語聴覚士が「これですけどなおりますか?」と持ってきた。メ-カ-で修理不能と言われたものを「なおりますか?」と持ってくるとはあんまりだが、何か挑戦状を突きつけられたようでもあり、ト-キングエイドをばらす機会など滅多にないだろうから、「なおらないかもしれないが一応やってみます」という条件で預かることとした。
   
 患者さんから預かったト-キングエイド。コネクタの形状からかなり古い物と思われる。 内部を見るとバッテリ-は腐食が激しい。 
 預かった本体からは大きなアンフェノ-ルの多極コネクタが出ている。今だったらこんなごついコネクタは使わないだろう。おそらく15年以上前の機械と思われる。バッテリ-は当然空っぽになっているだろうから、まずは充電、と思ったら充電器が附属していない。筐体には充電用のDCコネクタはあるが電圧などは全く判らないので、手持ちの電源をつなぐ訳にもいかない。ここまで来たら本体を分解して内部を見るしかない。分解してみると電池はSub-Cの多分NiCd4本だから4.8Vである。バッテリ-は腐食が激しくこのまま充電しても生き返るとは思えない。基板上にもう一つ45mAh,3.6Vの小さなNiCdがあるが、これはメモリバックアップ用と思われる。バッテリをはずして実験用の電源をつないで動作を確認する手もあるが、どちらにしてもバッテリの交換は必要だから、まずはバッテリ-を手配することとする。Sub-Cは秋月で簡単に手に入ったが、問題はバックアップ用の電池である。3.6Vの基板組み込み用はなかなか見あたらない。秋葉原を歩き回れば手にはいるが、近々東京への出張予定もない。ネットを探し回った結果、やっとマルツでボタン型の3枚つながったのを見つけた。形はだいぶ違うが、どうやら組み込めそうなのでこれを注文する。¥1000程度にほぼ同額の送料はばからしいので、外に買う物はないかとショップ上を探し回るも見つからず、「秋葉原往復の交通費より安いや」と自らを納得させこれだけ注文した。Sub-CはNiMHで容量は3000mAhもあり、多分以前に付いていたNiCdの倍近い容量があると思われる。手に入れた電池はタブが付いている物で、これを半田付けすると、どう見ても今までの電池より少し長くなりそうだ。 
 
 
 
 
ト-キングエイドの修理 写真4
電源用バッテリ-古い物はNiCd,新しい物はNiMH.
 
ト-キングエイドの修理 写真5
バックアップ用電池。同じ型は見つからず、とりあえず組み込めそうなものを手に入れた。
 
ト-キングエイドの修理 写真6
新しいバッテリ-を組んだら少し長くなったので、壁を削って強引に押し込む
 
ト-キングエイドの修理 写真7
ポリエチレンシ-トで巻き、サ-マルスイッチをつけて完成。
   
 とりあえず4本直列に半田付けして、全体をポリエチレンシ-トで巻くと、今までの電池より数ミリ長くなり、電池ボックスに入らない。とりあえずボックスの一方の壁を削り取り、強引に納める。保護用のサ-マルスイッチは手に入れにくいので古いものをはずして取り付けた。基板の充電回路付近を見ると、今だったら3端子レギュレ-タ-でも使うところだが、IC1A程度のトランジスタが2個見えるだけである。この部分の回路の解析は面倒なので、とりあえずバッテリ-を単体で充電してから取り付けて動作させてみることにして、実験用電源から充電をした。いい加減に充電したところで本体に接続して、基板にバックアップ用電池を取り付け電源を入れてみる。ぴっと音がするが液晶画面の全てのドッドが黒く表示されて、どのボタンを押してもウンともスンともいわない。万事休すである。これはICや基板上の重要な部品が壊れている可能性もある。もしそうであれば、回路図もない状態では、修理できる可能性は殆どなくなる。
 
 
ト-キングエイドの修理 写真8
CPU基板、手半田と思われるがさすがにプロの半田付けはきれい。赤矢印が怪しい部分。
 
ト-キングエイドの修理 写真9
同部の拡大。やはりここの半田不良で、付け直したら正常に動作した。
   
 直せる可能性のあるのは基板の半田付け不良箇所くらいだ。素人が作った物ではないので、まさか半田付け不良などはないとおもうが、わずかな可能性にかけて、基板を取り外してみる。基板はCPUが載った基板と液晶コントロ-ル用の2枚に分かれている。とりあえずCPU基板の方を拡大鏡を使い端からにらんでいく。古い製品でありチップ部品は殆どないので、手半田による仕上げと思われる。さすがにプロの半田付けはきれいだなど感心しながら拡大鏡でインスペクションを進めていくとSTATIC ROMの足一カ所の半田付けが怪しい。一応ダメモトでこの部分の半田付けを修正してみる。「まさかこんな事で動くようにはならないよな」などとつぶやきながら一応組み立ててスイッチを入れてみるとナナント!あっさり動いてしまった「やった、万歳」である。  
 
 
ト-キングエイドの修理 写真10
新しい電池を組み込んで修理完了した状態。裏蓋に貼ってあるのは修理票。
 
ト-キングエイドの修理 写真11
完成した状態で充電端子に実験用電源をつなぎ、電圧を徐々に上げて、適当な充電電流になる電圧を決める。
   
 これで一応動くようになったので、あとは充電ができればよい。充電回路の解析もやればできないことはないだろうが、2層基板で面倒である。とりあえずバッテリの電圧を測りながらパネルの充電端子に実験用電源をつなぎ、電圧を徐々に上げていくと、9Vで300mA流れた、バッテリ両端の電圧は5V程度である。これなら0.1Cなので約15時間ほどで満タンになる計算だ、満タンになってバッテリが暖かくなったところで充電が停止すればOKである。家から重たい電源を持ってきて、仕事部屋のワ-クベンチで充電を開始して、時々バッテリを触って暖かくなっているか確かめる。最初の日は全く暖かくならず、バッテリの電圧は5Vのままであった。次の日には電圧が5.6Vになったが、電流は相変わらず300mA流れている。夕方近くになって気のせいか、少し暖かくなったようであるが、電流は全く減らない。時間的には既にバッテリは満タンに近いはずである。ここで根負けをして、0.1Cなら仮につなぎっぱなしでも発火などの危険はないだろうし、サ-マルスイッチも付いているので・・・など自分を納得させる。電源は9Vでよいことが判ったので、東京に出張したときに秋月に寄って、9V1.3AのスイッチングACアダプタを手に入れた。
 
 
ト-キングエイドの修理 写真12
筐体を磨き上げて完成。
 
ト-キングエイドの修理 写真13
筐体の内側に貼った修理票。これを貼っておかないと自分でもどこを修理したか忘れてしまう。
 
ト-キングエイドの修理 写真14
本体につけて返す修理記録と、取り外した部品。取り外した部品もお客様の物なので、使えなくても捨てずに返すのが常識です。
   
 これで完成であるが、筐体をみるとかなり汚れている。ここまで来れば徹底的にと、中性洗剤で筐体をぴかぴかに磨き上げる。メ-カ-修理の納品のように、交換ではずした部品と修理記録・説明書を袋に入れ、言語聴覚士に渡した。後で、受け持ちの看護師が、患者さんが大変喜んで使っていると報告してくれた。この一言が”修理道楽”の醍醐味である。
 

10.YES/NO ブザー

10.YES/NO ブザー
 
 リハビリテ-ション室で見ていたらスタッフの質問にイエスの時は一本の指を動かして返事をしている患者さんがいた。イエスの時は指を動かし、ノ-の時は動かさないことで意思の表示をしているとのことだったが、動かした時はイエスと判るが、動かさなかった時はノ-なのか反応をしていないのか区別が付かない。そこで、ボタンを押せる患者さんが手軽に使えるスイッチでイエス/ノ-の2種類の返事ができる物を作ろうと思った。考えた条件は以下のようなものである。
1)手のひらに収まるくらい小さいこと
 手で持って操作が可能であることは車いす上などで使う場合重要である。小さすぎる場合大きくすることは簡単だが、大きいものを小さくすることは不可能なので、なるべく小さく作ることとする。
2)一つのボタンでイエスとノ-の2種類の返事ができること
 二つのボタンを押し分けられれば極めて簡単に作れるが、患者さんは指の動きが極めて制限されていて、二つのボタンの間を移動するだけの運動能力がない。
3)初対面の人でもイエス/ノ-の理解が可能であること。
  青いランプが点いたらイエス、赤いランプが点いたらノ-などの予めの取り決めが必要な物は不可。はい、いいえとしゃべるなどのすぐに判る機能が必要。
4)電源スイッチをONにしなくてもすぐに使えること
 介護者がいちいち電源スイッチを入れるのは手間がかかる。常に待機状態である必要がある。
5)電池の寿命が長く少なくとも半年くらい持つこと
 この条件は1)と4)の条件を考えれば極めて難しい。しかし、頻繁に電池の入れ替えが必要だと実用性が著しく低下する。待機電流は極めて少なく設定する必要がある。

 以上のような相反する困難な条件となった。はい、いいえとしゃべらせることは、録音ICを使用すれば可能だが、これではあまり小型化できない。そこで、イエスは「ピンポ-ン」、ノ-は「ブ-」と言うことにする。これなら、初めて聞いた人もイエス、ノ-だと判るだろう。「ブ-」は比較的簡単だと思うが、「ピンポ-ン」は難題である。これをPICを使って実現できるかと、PIC、チャイムの検索語でネットを探すといくつかヒットした。その結果判ったことは、チャイム音はPICの外に時定数を持ち減衰波形を作る回路を外付けする必要があるようだ。外付け回路には比較的大きな電解コンデンサなどが必要で小型化するのは困難である。そこで、3端子のメロディICの中にチャイム音を出すものがないか探してみると、Bowin Microelectronicsという会社からDING-DONG sound effect generator ICと言うのが発売されている。サイトのアドレスがwww.bowin-ic.com.hkなので香港にある会社のようだ。 
   
YES/NO ブザー 写真1
YES/NO ブザーチャイムIC M8031
 
デ-タシ-トに出ていた応用回路はここに示す物であるが、これは不思議な回路である。スイッチがnormally closed typeとなっている。すなわち、常にオンになっていて動作をさせたいときにオフになると言うことである。オフになった場合ICが利用できるのは1マイクロのコンデンサ内の電荷だけであり、これでスピ-カ-をドライブすれば瞬間的に放電してしまい、「ピンポ-ン」どころか「ぴっ」という音も出ないと思う。実際やってみるのもばかばかしいので実験はしなかったが、メ-カ-のデ-タシ-トとしては極めていい加減である。
 
 
YES/NO ブザー 写真2
デ-タシ-トに載っていた不思議な回路
   
 このICを使いPICの足をHIにしてこのICを駆動すれば「ピンポ-ン」と鳴ることとなる。「ブ-」は単なるブザ-音なのでPICで適当な周波数の矩形波を作ればよい。二つの音源をダイオ-ドによるOR接続で出力トランジスタを駆動すればよい。一つのスイッチでyes/noを分ける方法は、ボタンを押す時間で区別することとした。スイッチが押された瞬間からカウントを始め、一定時間内にスイッチがオフになれば「ピンポ-ン」を、それ以上の時間続けて押されていたら「ブ-」を出力するようにPICのプログラムを組めばよい。センタ-長はプログラミングにCCS Cコンパイラを使用している。消費電力を少なくするためにクロック周波数はできるだけ低く設定する。と言うわけでこのような回路図ができあがった。プログラムはカウンタと「ブ-」があればよいので比較的簡単である。しかし、ここで問題が・・・・「ブ-」をduty ratio 50%のパルスで作ると周波数を変えても「ポ-」や「プ-」という心地よい音となってしまう。これではNO!の感じが出ない。そこで、パルス幅が素数の3個のパルスを繰り返して出力することとした。この音は「ビロビロベ-」と言う感じでなかなか雰囲気が出ている、これで行くこととした。
   
ソ-スコ-ド ( 2015-01-25 ・ 2KB )
 
HEXファイル ( 2015-01-25 ・ 1KB )
   
表示されたファイルはファイル名20150125162822925.txtとなっています。 このファイルをPCに保存した後に拡張子をtxtからhexに変えて ファイル名を20150125162822925.hexに変更するとそのままPICに書き込めます。
   
使用したスピ-カ-とスイッチ
 
 これを小さなケ-スに組む訳であるが、問題は電源である。ケ-スとして選んだのはタカチの手のひらに収まる細いケ-スで、単四乾電池2本でいっぱいとなる。単四2本の電池ボックスは幅が広く入らないが、両サイドを切り取りどうやら収めることができた。スイッチは弱い力で操作でき、しかもクリックのはっきりした物ということで、このような小型マイクロスイッチを使った押しボタンスイッチを採用した。スピ-カは偶然にぴったりサイズのものが手に入った、どうやら薄いノ-トパソコンに使用するものらしい。残りのスペ-スに回路を組見込むことになる。スペ-スに合わせて蛇の目基板を加工して押し込む。ここで問題が・・・動作を確認して、電池の上にスピ-カ-を置いて蓋を閉めようとしたら、スピ-カ-が出っ張って蓋が閉まらない。そこで、電池ケ-スの底板も取り払って、結局写真のようになった。くみ上げてアイドリング電流を測定してみたら約60マイクロアンペアであった。これならスイッチなどつけなくても数ヶ月は持つと思う。
 
 
YES/NO ブザー 写真6
機構構成
 
YES/NO ブザー 写真7
配線が終わった状態
   
YES/NO ブザー 写真8
 
 
 
 
 
 
 
 
基板の表と裏
簡単な回路なので狭い基板でも余裕を持って組み込めた
   
電池の上にスピ-カ-を置いたら蓋が閉まらないことが判明。結局電池ケ-スの底板も取り払って収めた。
   
YES/NO ブザー 写真11
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 完成した本体。小型で使い勝手が良い。
必要なら患者さんの手に合うようにパテなどで形を整えることが可能である。 
   
 「患者さんにあげてしまっていいよ」と言って言語聴覚士に渡した。患者さんに使ってもらったら、指の動きがゆっくりでyes/noの切り替えのタイミングが早すぎると言語聴覚士が言ってきた。これはプログラムの定数を変更することで簡単に対応できた。しばらくして、患者さんのお母さんが、質問に対しyes/noを区別してボタンが押せるようになったと教えてくれた。これは使い道が広そうなので、暇なときに数個作っておこう。
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